働き盛り世代に忍び寄る健康リスクとは?

働き盛り世代に忍び寄る健康リスクとは?

40代-50代が気をつけたい病気

40代-50代は、社会的にも家庭的にも責任が増し、仕事とプライベートの両立に日々追われる年代です。まさに「働き盛り」と呼ばれる時期ですが、実はこの年代から、体の内側ではさまざまな健康リスクが静かに進行していることをご存知でしょうか?

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(2022年)」によれば、40代-50代の約3人に1人が何らかの生活習慣病リスクを抱えています。しかし、痛みや不調が出にくいため、「まだ大丈夫」と思っているうちに症状が進行してしまうケースも少なくありません。

本記事では、特に注意したい5つの健康リスクと、その予防対策を解説します。

■ 高血圧:自覚症状がない“静かな殺し屋”

日本高血圧学会によると、高血圧の患者数は約4,300万人にのぼります。特に40代-50代の男性は、仕事のストレスや塩分の多い食生活、運動不足が重なりやすく、高血圧のリスクが高い傾向があります。

高血圧は、脳卒中・心筋梗塞・腎不全などの重大な疾患につながる危険な状態にも関わらず、初期段階では症状が出にくいのが特徴です。

【対策のポイント】

  • 1日あたりの塩分摂取量は6g未満を目指す(厚労省推奨)

  • ラーメンや味噌汁のスープは残す工夫を

  • 家庭用血圧計で定期的に測定し、“見える化”する習慣を

■ 脂質異常症:血管の老化を進める沈黙の病気

脂質異常症は、悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪が高く、善玉コレステロール(HDL)が低い状態を指します。日本動脈硬化学会の調査では、40〜50代の約3〜4割がこの疾患に該当する可能性があると報告されています。

動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが著しく上昇します。運動不足、食事の偏り、飲酒習慣が主な要因です。

【予防のためにできること】

  • 週2回以上、DHA EPAを含む青魚(サバ・イワシなど)を食べる

  • バターやマーガリン、揚げ物を控える

  • 健康診断の血液検査項目(LDL、HDL、中性脂肪)を毎年確認

■ 糖尿病:気づかぬうちに進行する現代病

糖尿病はもはや“高齢者の病気”ではありません。日本糖尿病学会によると、糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人、予備群を含めると約2,000万人とされています。

特に日本人はインスリン分泌が欧米人に比べて少なく、40代から急激に発症リスクが高まります。内臓脂肪型肥満や運動不足が主な原因です。

【日常生活での対策】

  • 食事は「ベジファースト」(野菜を最初に食べる)を心がける

  • 白米を玄米や雑穀米に置き換える

  • 週150分以上の中強度の有酸素運動(ウォーキングなど)を意識

また、健康診断だけでは見落とされる場合があるため、HbA1cの定期測定を医療機関で受けることも推奨されます。

■ メンタルヘルス:ストレス社会の中で心も要注意

「体は元気なのに、なぜかやる気が出ない」「眠れない」「常にイライラする」。これらの症状は、心のサインかもしれません。

厚生労働省のストレス調査によると、40代・50代の約20%が強いストレスを抱えていると回答しています。役職や家庭の責任が増すこの時期、うつ病や自律神経失調症のリスクも高まります。

【セルフチェック】

  • 休日にリラックスできているか?

  • 睡眠の質に変化はないか?

  • 朝の目覚めがつらくなっていないか?

心の不調を感じたら、産業医・メンタルヘルス外来・EAP(従業員支援プログラム)などへの相談をためらわないでください。オンラインでのカウンセリングも増え、利用しやすくなっています。

■ がん検診:まだ受けていない人は今すぐ行動を

日本では毎年約37万人ががんで亡くなっていますが、早期発見・早期治療によって治癒できるケースも増加しています。にも関わらず、日本対がん協会の調査によれば、40-50代のがん検診受診率は50%未満。特に男性の受診率が低いのが課題です。

【40代-50代に推奨される検診】

  • 胃がん(バリウム検査または内視鏡)

  • 大腸がん(便潜血反応)

  • 肺がん(胸部X線・喀痰検査)

  • 前立腺がん(PSA検査)※男性

  • 乳がん・子宮頸がん(女性)

会社の健康診断だけでなく、公的な福利厚生や自治体が実施する低額健康診断も積極的に利用しましょう。

■ 最後に:未来の自分への投資は「今」

忙しさの中で、つい「自分のことは後回し」にしがちな働き盛り世代。しかし、10年後-20年後の自分が元気に過ごせるかどうかは、“今この瞬間”の小さな習慣にかかっています。

  • 階段を使う・1駅分歩くなど“日常の運動”

  • 健康診断の結果を見返す習慣

  • スマホの歩数アプリや食事記録アプリで楽しみながら健康管理

これらはすべて、未来の自分へのプレゼントです。自分の体を労ることは、家族や仲間への思いやりにもつながります。